水のコラム
キッチンの蛇口から水漏れが発生する原因と放置するリスク&対処法
水回り関係のトラブルの中でも多いのが、蛇口からの水漏れです。キッチンの蛇口から発生する水漏れは、少量の場合もあれば、慌ててしまうような規模のものもあります。「急いで水漏れの対処法を知りたい」「自分で修理に挑戦したい」といった方もいるでしょう。
そこで、キッチンの水漏れに悩んでいる方のため、そもそも何が原因で水漏れするのか、放置するとどうなるのかについて解説します。この記事を読むことによって水漏れが発生した場合の注意点や、具体的な対処法がわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
キッチンの蛇口が水漏れする原因とは?
水漏れが発生する原因は1つだけではありません。水漏れの原因によって修理するべき箇所が変わるので、よく確認しておきましょう。
代表的な原因から解説します。
パッキンの劣化
パッキンは長く使用していると少しずつ劣化するため、パッキンの劣化によって水漏れが発生することがあります。パッキンとは、気密性を保つために使われている詰め物のことです。
キッチンで使われるパッキンには、弾力性の高い天然ゴムや人造ゴムなどが多く使われています。見た目で劣化を判断することは難しいので、パッキンの劣化が疑われる場合は交換してしまうのもひとつの方法です。
例えば、クランクと呼ばれる壁に接続されているパイプ部分からの水漏れや吐水口の接続部からの水漏れはパッキンの劣化によって発生することがあります。
ケレップの劣化
ケレップとは水栓の内部にある部品で「水栓ケレップ」や、「コマ」とも呼ばれます。ナットとパッキンで構成されていて、パッキンは劣化するので劣化が原因で水漏れを引き起こしてしまうことも多いです。
また、ナット部分にサビが発生している場合も水漏れにつながることがあります。
ナットに問題がない場合は、パッキンのみを交換して使うことが可能です。形が崩吐水口からの水漏れが発生している場合、ケレップの劣化が起こっている可能性があります。
カートリッジの故障
レバータイプの蛇口で使われているのが、カートリッジと呼ばれる部品です。水栓金具の内部にある部品で、水とお湯を調合させて吐水口に出す役割を持っています。
吐水口からの水漏れや、蛇口のレバー下、ハンドルの付け根からの水漏れには、カートリッジの故障が関連している可能性が高いです。
水栓本体の不具合
水栓本体に不具合が発生して水漏れを引き起こすこともあります。一般的な蛇口の耐用年数は10年ほどです。耐用年数を過ぎている蛇口の場合は、水栓本体に不具合が発生している可能性を疑ってみましょう。
パッキンやケレップ、カートリッジの交換であれば安く済みますが、これらを行っても水漏れが改善しない場合は水栓本体の交換について検討が必要です。
キッチンの蛇口からの水漏れを放置するリスク
水漏れが発生している場合、たとえ少量だったとしても放置するのはおすすめできません。急激に状態が悪化することもあります。
水漏れを放置した場合、以下のようなリスクが考えられます。
水道料金の増加
水道を使っていないときも水が流れてしまうので、その分水道料金が高くなる可能性が高いです。中には、水道料金が増えていたことで水漏れに気づく方もいます。
ポタポタと出る程度の少量の水漏れであっても少しずつ金額が積み重なってしまうので、早期に対処しましょう。
カビや臭いの発生
キッチン蛇口からの水漏れを放置した場合、常にシンクに水気があり、キッチン全体の湿度を上げてしまうことがあります。すると、カビや臭いが発生してしまうこともあるので、注意しましょう。
カビは健康にもよくありません。健康被害につながってしまう恐れもあるので、水漏れを放置するのは避けたほうが良いです。
また、湿気は人体だけではなく、家にも影響を与えます。木材が腐食してしまうこともありますし、状態がひどくなれば柱にダメージが蓄積し、倒壊してしまう可能性もゼロではありません。
階下への水漏れ
マンションやアパートの場合、水漏れによって他の方に迷惑をかけてしまう恐れがあります。水が排水口以外のところに流れ込んでしまった場合、階下への浸水リスクがあるため、十分に注意しましょう。
例えば、自宅のキッチンからの水漏れが原因で階下の部屋に設置されていた家電製品が壊れてしまったとなれば、大きなトラブルにつながってしまう恐れもあります。
家電製品への被害だけでは済まず、階下の床なども傷んでしまえば改修費用を請求されてしまう可能性もあるでしょう。訴訟問題に発展してしまうリスクもあるので、早急に対応しなければなりません。
こちらの記事ではトイレの給水管の故障について解説しています。水漏れを放置することで二次的被害が起きるのはキッチンだけではなくトイレも同様です。あわせてご覧ください。
トイレ給水管の故障・破損で起きるトラブルとDIYによる交換方法
水漏れが発生した際にはまず応急処置を施そう!
水漏れが発生した場合、応急処置を行った上で修理を検討することになります。応急処置といっても難しいことはなく、止水栓・元栓を締めるだけです。
止水栓とは、水を使う場所に設置されているもので、その箇所の水流をコントロールする役割があります。例えば、キッチンの水漏れ修理のために止水栓を閉めても、トイレの水は使用可能です。止水栓は、蛇口の給水管に設置されています。
シンク下の扉を開け、給水管を確認しましょう。なお、シンクの背面パネルよりも壁側に給水管が隠されている場合もあります。背面パネルが取り外せるようにネジなどで固定されているものは、ドライバーを使って取り外し、止水栓を締めましょう。
ただ、中には止水栓がどこにあるのかわからないようなケースもあります。そういった場合は元栓を閉めて対応してください。
元栓は、家全体の水を止める役割を持っています。ハンドル式・レバー式の2つのタイプがあり、ハンドル・レバーを右に動かなくなるまで回して閉めます。
水漏れの修理を行う注意点として、大規模な漏水被害のリスクを防ぐためにも必ず止水栓または元栓を閉めてから開始しましょう。
水漏れ修理が終わって元に戻す際は回らなくなるまで左に回し、全開にします。中途半端にすると水圧が不安定になってしまい、水道の不具合につながってしまう恐れがあるっためです。
また、元栓のある場所は一軒屋なのか、集合住宅なのかによって異なるため、詳しく紹介していきます。
一軒家の場合
一軒家の場合、外に出て地面に設置された青・白・黒などの四角い蓋を探しましょう。蓋の表面には「量水器」または「水道メーター」と書かれています。
水道局の方が点検しやすいように、道路から近い位置に設置されていることが多いです。蓋を開けると中にハンドルがあり、これが元栓です。
集合住宅の場合
マンションやアパートといった集合住宅は物件によって元栓の位置が異なります。
例えば、玄関横にパイプスペースがある場合はそこの中に設置されていることが多いです。また、お部屋が1階の場合は玄関前の廊下や、ベランダ側の地面に設置されていることもありますし、駐車場に設置されていることもあります。
注意点として、地面に設置されているものは一軒家と同様に蓋がありますが、各部屋の蓋が並んでいる場合は他の住宅の元栓を閉めないように気をつけましょう。蓋を開けると裏面に部屋番号が記載されていることもありますが、わからない場合は大家さんや管理会社に確認することをおすすめします。
水漏れを自分で直す際に必要な道具
水漏れ修理で主に使われている道具は、以下のとおりです。
道具の種類 | 目的 |
モンキーレンチ | ナットを緩めたり締めたりする。上アゴのほか、調整可能な下アゴがついていてボルトナットのサイズに合わせて使えるのが特徴。 |
トルクレンチ | ナットを緩めたり締めたりする。メモリがついていて行っている作業をどの程度の力で締め付けているか測定が可能。 |
水栓レンチ | 水栓取外しレンチとも呼ばれ、水道の蛇口自体を取り外す。先端にゴムまたは樹脂素材がついていて、手ではうまく力をかけられない蛇口の取り外しが簡単に行える。水栓を押さえる固定用の工具としても使われる。 |
ドライバー | ネジの取り外しにはドライバーが必要。また、ハンドルの調整には精密ドライバーが使われる。 |
ピンセット | 細かい部品を取ったり小さな部品をつかんだりする。 |
中でもモンキーレンチとドライバーはどの水道工事を行う場合も必要になることが多いです。
その他、パッキンなど交換用の部品を用意しておきましょう。各種交換用の部品にはサイズがあるので、適したサイズのものを選択しなければなりません。メーカーによっても形状が変わることがあります。
道具や交換用の部品はホームセンターなどで購入可能です。ただ、購入した部品が間違っていたとなると二度手間になってしまいます。どれを選べば良いのかわからない場合は、先にもともと使っていた部品を取り外し、それを持って交換用の部品を買いに行くと良いでしょう。
キッチンの蛇口の種類
キッチンで使われている蛇口には、いくつか種類があります。代表的なのが「シングルレバー混合水栓」と「ハンドル混合水栓」の2種類です。
シングルレバー混合水栓
シングルレバー混合水栓は、レバーが1つついていて、上下左右に動かすことにより水量や水温を変化させるタイプです。比較的新しいキッチンに多いタイプといえます。
1つのレバーだけで調整ができるので便利ではありますが、ハンドル混合水栓よりも構造が複雑であるため修理する際は難易度が高いです。
ハンドル混合水栓
ハンドル混合水栓は、冷水と温水の2種類のハンドルがついているタイプです。ハンドルの上部には、水が出る側に青、お湯が出る側に赤の印がついています。
温度の調整はそれぞれのハンドルで行うことになります。シングルレバー混合水栓と比較してシンプルな構造であることから壊れにくい、修理がしやすいなどのメリットがあります。
シングルレバー混合水栓の水漏れの自分での対処法
水漏れの発生箇所がレバーやスパウト周りからなのか、止水栓の接続部からなのか確認し、以下のように対処してみてください。事前に水道の止水栓か元栓を閉めてから開始します。
レバーやスパウト周りから水漏れしている場合
レバーや水が出てくる注ぎ口である「スパウト」から水漏れが発生している場合、カートリッジを交換しなければなりません。
先にレバーハンドルを外しておきましょう。ネジ止め式と、はめ込み式のどちらなのかによって外し方が変わります。
レバーの上面か側面に化粧フタがある場合はネジ止め式です。化粧フタを外してからドライバーでネジを緩めてレバーを外しましょう。
はめ込み式の場合は上に引き上げて外します。硬い場合は揺らしながら持ち上げると外れることがありますが、無理をすると破損につながるため、注意が必要です。
続いて以下の手順でカートリッジの交換を行っていくのですが、台付ワンホールシングルレバー混合水栓は特に注意が必要です。必ず専用本体固定具を用意し、本体は動かないようにしましょう。
本体ごと回ってしまうと大規模な漏水につながることもあります。
また、一部のメーカーでは専用の固定具が必要です。専用の固定具が必要なものに対し、プライヤーなどで代用すると失敗したり、傷がついたりする恐れがあるので修理業者に依頼することをおすすめします。
以下の手順で進めていきましょう。
◆手順
- 1.レバーハンドルを外す
- 2.カートリッジカバーを外し、カートリッジを外す
- 3.新しいカートリッジに交換してからカートリッジカバーを取り付ける
- 4.レバーハンドルを取り付けて完了
一般的に、カートリッジの使用期間は10年程度とされています。それ以上経過して水漏れが発生している場合、交換を検討しましょう。
ただ、使用し始めて間もないカートリッジで水漏れが発生している場合、カートリッジ以外の部分に原因がある可能性も考えられます。
止水栓の接続部から水漏れしている場合
蛇口本体ではなく、下にある止水栓から水漏れが発生することもあります。この場合、気付くのが遅れ、シンク下に溜まった水が溢れてきた際に気付くことも多いです。
ナットが緩んでいる場合は、締め付けましょう。これだけで解決することもありますが、解決しない場合はパッキンの交換が必要です。
◆手順
- 1.止水栓を閉める
- 2.ハンドルタイプはハンドル上についている色ビスを外し、ハンドルを上に引き抜く
- 3.モンキーレンチで袋ナットを外す
- 4.三角パッキンを外して交換用パッキンを軸棒側に取り付ける
- 5.袋ナットを戻す
- 6.ハンドルタイプはハンドルを戻して完了
止水栓を閉める際、ハンドルタイプの場合は回して、ネジ型はマイナスドライバーで回して閉めます。
ハンドル混合水栓の水漏れに自分で対処する方法
ハンドル混合水栓タイプから水漏れが発生した場合の対処法を紹介します。ハンドル、パイプ、蛇口と取り付け口の間のどこから水漏れが発生しているのかを確認し、それぞれ以下のように対処してください。
事前に水道の止水栓か元栓を閉めておきましょう。
ハンドルから水漏れしている場合
ハンドル下にあるナット部分から水漏れが発生している場合、原因は、三角パッキンが傷んでいることにあります。パッキンとナットの交換が必要になります。
◆手順
- 1.ハンドルについている赤・青のキャップを外す
- 2.キャップを外すと出てくるネジをドライバーで外し、ハンドルを外す
- 3.カバーナットをプライヤーかモンキーレンチでゆるめて外す
- 4.内部にある三角パッキンを交換する
- 5.逆の手順で戻して完了
事前に使用している水栓のサイズを確認した上で必要な交換用部品を選びましょう。最後にナットを強く締め付け過ぎるとハンドルが硬くなるので注意してください。
パイプから水漏れしている場合
パイプから水漏れしている場合は、パッキンやケレップの交換が必要です。パイプの根元から水漏れが発生している場合、パッキンを交換しましょう。
◆パッキンの交換手順
- 1.パイプナットをレンチで緩める
- 2.パイプとUパッキンを外す
- 3.新しいUパッキンを溝がある側を水栓本体に向けて入れる
- 4.パイプを取り付け、パイプナットを締めて完了
パイプ先端から水漏れが発生している場合は、ケレップの交換が必要です。
◆ケレップの交換手順
- 1.ハンドルについている赤・青のキャップを外す
- 2.キャップを外すと出てくるネジをドライバーで外し、ハンドルを外す
- 3.カバーナットをプライヤーかモンキーレンチで緩めて外す
- 4.水栓上部、またはスピンドルを回して取り外す
- 5.水栓内部にある古いケレップを新しいものに交換する
- 6.逆の手順で戻して完了
ケレップを交換しても水漏れが直らない場合、ハンドル部や開閉バルブまたは蛇口本体の交換を行う必要があります。
蛇口と取り付け口の間から水漏れしている場合
蛇口と取り付け口の間から水漏れが発生している場合は、シールテープと呼ばれる配管のつなぎ目などに使用するテープ状のシールの交換が必要です。
◆手順
- 1.レンチを使ってクランクナットを緩め、水栓本体を取り外す
- 2.壁から壁に接続されているパイプ部分(クランク)を回して外す
- 3.クランクに残っている古いシールテープや配管に残っているゴミや汚れをきれいにする
- 4.新しいシールテープをクランクに巻きつける
- 5.クランクを壁に取り付け、水栓本体を取付けて完了
壁からクランクを外す際は、ケガを避けるためにクランクにタオルを巻きましょう。
放置するのではなくすぐに修理を
キッチンの蛇口から水漏れが発生する原因や放置するリスクなどについて紹介しました。どのように対処すれば良いのかご理解いただけたかと思います。
注意点として、たとえ軽い水漏れだったとしても放置するのはよくありません。できるだけ早急に修理を検討すると良いでしょう。
くまもと水道職人では、水道局指定店として水回りに関するさまざまなトラブルに対応しています。24時間365日受付・ご訪問を行っているので、今すぐ相談したい場合もお気軽にご連絡ください。
監修者
主任
平野 勝
《略歴》
2017年株式会社N-Visino入社後、弊社指定の水道メンテナンス研修プログラムを履行。
水回りの小さなトラブルから建物全体のメンテナンス、リフォームに至るまで、水に関わるあらゆるお悩みをお客様の目線に立ち、お客様とともに解決してまいりました。
年間約600件の現場へ実際に立ち会い、培った水のプロフェッショナルとしての経験を活かし、当コラムでは水にまつわる幅広い知識を届けたいと考えています。
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