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水のコラム

トイレの構造から見るつまりの原因と対処せずに放置する危険性

2024年11月22日 トイレのつまり

トイレのつまりが発生する原因について詳しく知りたいと考えている方は、トイレがどういった構造をしているのか理解しておくと良いでしょう。本記事では、構造から見るつまりの原因について解説していきます。

「もしかしたらつまったかもしれない」という方のため、つまる原因や自力で解消する方法などについても解説するので、ぜひご覧いただければと思います。

トイレの構造と仕組み

ここでは、現在主流となっている洋式トイレの構造と仕組みを解説していきます。

トイレの種類やメーカーによって細かな部分は異なりますが、基本とも言える構造はどれも同じです。

洋式トイレの構造

基本的な構造として、水を溜めておくタンク部分と、便器部分に分かれています。レバーを引いて水を流すとタンク内に溜まっていた水が便器に流れ、タンク内には新たな水が給水される形です。

トイレのタンク内には以下のようなものがあります。

【タンク内の部品と構造】

  • ボールタップ:給水と止水を行い、タンク内の水位を保つ
  • 浮き球:水の量に合わせて上下し、ボールタップの給水・止水を行う
  • フロートバルブ:タンク内の水が流れないように蓋をして水を溜める
  • オーバーフロー管:水が止まらなくなった場合にタンクから溢れ出るのを防ぐ

これらの部品が複雑に連動していることから、どれか一つでも不具合が出てしまうと水が止まらないなどのトラブルにつながるでしょう。

タンクから流れた水と排泄物は排水管を通って下水管に流れていきます。
普段は見えませんが、トイレのタンク内では非常に複雑な動作が行われているのです。

洋式トイレの仕組み

タンクの中も便器の奥も目にする部分ではないので、基本的な仕組みをご存じない方がほとんどでしょう。そこで、まずは基本的な仕組みから確認しましょう。

タンクの底部分にあるのが、フロートバルブと呼ばれる排水弁です。
このフロートバルブにはチェーンがついており、チェーンの先は水を流す時に使用するレバーとつながっています。

そのため、水を流す目的でレバーを引くとチェーンが引っ張られ、フロートバルブが外れて便器に水が流れる仕組みです。

タンク内の水がなくなると、水が減るのに合わせて、空気が入った浮き球と呼ばれる部品が沈んでいきます。

浮き球はボールタップと呼ばれる部品と連動しており、浮き球が下がるとボールタップの弁も下がり、ボールタップについている給水口からタンクに水が流れる形です。

水が溜まってくると少しずつ浮き球が上昇するため、規定の数位まで上がるとボールタップの弁が閉じて水が止まります。

一方、便器は常に水が張られた状態です。これは「封水」と呼ばれるものであり、トイレの先にある下水管から臭いが上がったり、虫などがトイレに入ったりするのを阻止する役割を持ちます。

トイレの構造上つまりやすい箇所

一般的につまりの原因となりやすいのは便器側であり、排水口の奥に原因が隠れているケースがほとんどです。

トイレは構造的に見るとつまりやすい箇所が2つあります。

1箇所目は、排水口の先の「堰(せき)」と呼ばれる部分です。トイレの排水口の先は、そのまま下方向に向かうわけではありません。

下水からの逆流を防ぐ目的で排水口の先は少し高くなっています。この高くなった部分が堰であり、つまりやすいポイントです。

高さがあることに加えて強いカーブとなっているため、カーブを曲がりきれなかったものが引っかかってしまうことがあります。

2箇所目は、堰を越えたあとにある排水管の手前部分です。ここは少し低くなっているのが特徴です。

そのため、大量のトイレットペーパーや汚物を流した場合、水流や水圧によっては流れ切らずに堆積することがあります。

この2箇所のうち、堰については便器の排水口から近い位置であるため、つまりが発生した場合、自身で対処できる可能性があります。

一方で、排水管手前部分でつまりが発生してしまった場合、便器側で対処しても届かず、個人で対応するのは簡単ではありません。

水道修理業者に依頼して修理する場合、便器を取り外して作業しなければならないこともあるため、「大掛かりな修理が必要になる可能性があります。

トイレがつまった場合の症状

そもそもトイレがつまっているか判断できないという方もいるでしょう。ここでは、つまりを判断するための代表的な症状を3つ紹介します。

水が流れない

そもそも水が流れない場合は確実に排水口の奥の配管部分にものがあり、それが水の流れを邪魔したり、せき止めたりしている状態です。

この時にタンク内の水を流したとしても排水口からうまく流れません。水の勢いがなくなれば排泄物をうまく流せなくなるため、早急に対処が必要です。

また、排水管ではなく、水を溜めておくタンクの内部に問題があり、うまく流れない状態になることもあります。

節水のために水量を上げようとタンク内に水の入ったペットボトルを入れてしまう方がいるようです。

このような状態になると確かにタンクの中に溜まる水の量は少なくなりますが、水量が減って排泄物を流す水の勢いが足りなくなることがあります。

ペットボトルを入れていなくてもレバーを回した時に水の量が少ない、勢いがないと感じる場合はタンク内の部材に何らかの不具合が起こっている可能性があるので、修理を検討しましょう。

便器の奥から異臭がする

本来、トイレの排水口は下水の嫌な臭いが上がってこないように封水と呼ばれる水でふさがれています。

しかし、異臭が発生している場合は排水経路のつまりが原因で封水が溜まっていない可能性が高いです。

トイレの便器内の水の量が足りない場合はつまっている可能性を疑う必要があります。

便器内の水位が普段と異なる

便器内の水、つまり封水が少ない場合はつまりが発生していると紹介しましたが、いつもより多い場合も注意が必要です。

排水経路のつまりによって水がうまく流れていない可能性があります。

トイレがつまる原因

ここではトイレがつまる代表的な原因を紹介します。該当するものがないか確認してみてください。

大量のトイレットペーパーを流した

つまりの原因として多いのは、トイレットペーパーを大量に流したことで起こるつまりです。使用量が多いときは、数回に分けて流しましょう。

また、特に女性が注意したいのが、小便をしたあとに「小」で流してしまう行為です。トイレットペーパーを多めに使用した場合は「大」で流すようにしてみてください。

固形物を流した

水に溶けない固形物を流してしまった場合、小さなものであってもつまりの原因となってしまうことがあります。

この程度なら流れると考え、固形物を流すのはつまりの原因となる可能性があります。

水圧が不足している

排泄物やトイレットペーパーを確実に流すためには、十分な水圧が求められます。そのため、水圧が不十分だとつまりやすくなるため、注意が必要です。

水圧が弱くなる原因としては、何らかの不具合によってタンク内の水が減少していることが見られます。

また高所にあるトイレは1階のトイレと比べて排水経路が長くなり、水圧が弱くなる傾向があります。

トイレの中でもタンクレスタイプを高所に設置すると、つまりのリスクが高まります。
タンクレストイレを高所に設置する場合は、ブースターと呼ばれる加圧装置の利用も検討しましょう。

過度な節水を行った

節水のために水を少ししか流さないと、当然ながら排水管の途中でつまりやすくなってしまいます。水道の使用料を抑えられたとしても、つまりが発生して修理費用がかかる場合、かえって費用がかさむ可能性が高いです。

トイレの構造について紹介した通り、排水口の先は高くなっているだけではなくカーブもしているため、ある程度の水量がなければトイレットペーパーや排泄物は流れません。
節水が結果として費用がかさむことにならないように注意が必要です。

食べ残しを流した

食べ残しはたとえ小さなものであったとしても流してはいけません。これは、そもそもトイレは大便と小便、そしてトイレットペーパー以外を流すことが想定されていないためです。

例えば、食べ残しを流してしまうと、食品に含まれている油や、水に溶けない食材がつまりを引き起こす可能性があります。

尿石が蓄積している

全く思い当たることがないのにつまりが発生している場合は、尿石が原因である可能性があります。

尿に含まれるカルシウムが固まって石化した尿石は、少しずつ便器の裏や排水口に付着していきます。

特に長期間掃除していない場合は尿石が蓄積している可能性があるので、定期的に掃除してキレイな状態にしましょう。

通常の掃除用のブラシでこすっただけではなかなか落ちません。酸性洗剤や尿石削りといったものを使用してみてください。

手洗い管から水漏れしている

トイレタンクに手洗い管がついている場合、水漏れが発生していないか確認が必要です。よくあるのが、水が出てくる吐水口からちょろちょろと水漏れが発生することがあります。

これは、タンク内の水量が適切な状態に保てていない場合に起こりやすいトラブルです。もし、タンク内の水量が少なくなっている場合は、水圧と水量が弱くなり、つまりを引き起こしやすくなります。

トイレのつまりを自力で解消する流れ

簡単なつまりであれば、ラバーカップ(スッポン)を使用して自力で解消することが可能です。

具体的な手順を確認していきます。

①トイレの止水栓を閉める

必ず行うべきなのが、トイレの止水栓を閉める作業です。止水栓を閉めておかないとトイレがつまった状態で作業中にうっかり水を流してしまい、水が溢れてしまう可能性があります。

便器付近の壁に止水栓が設置されているので、溝にマイナスドライバーを入れて右方向に回しましょう。止水栓が硬くて回せない場合や、見つけられない場合は家の外に設置されている家全体の水道の元栓を閉めておきます。

なお、止水栓は作業が終わった後に元に戻すのを忘れないようにしてみてください。

②床を養生する

ラバーカップを使用した作業では床が汚れてしまう可能性があるため、養生してください。大きめのビニールシートを床に敷いておきます。

また、壁も汚れる可能性があるので、水が飛び散りそうなところは養生するのが望ましいです。

③ラバーカップを使用する

ラバーカップには、和式トイレ用・洋式トイレ用・節水型トイレ用といった種類があるので、適したものを選択してみてください。

種類を間違えると十分な効果が得られません。以下の手順で使用します。

【ラバーカップの使い方】

  • ラバーカップを排水口に置いた際、カップ部分が浸るくらいまで水量を調整する
  • ビニールシートの中央に小さな穴を開け、そこからラバーカップの柄を出す
  • 水が飛び散った時のため、便器にビニールシートを固定する
  • 排水口にラバーカップを当て、ゆっくりと押し込む
  • 勢いよく引っ張る
  • つまりが解消されるまで何度か行う

最初の水量を調整する作業では、水が不足している場合は水を足し、多すぎる場合は灯油ポンプや小さな容器を使用して汲み出しましょう。

排水口に押し込む際に力を入れすぎるとつまりの原因が奥に移動してしまう可能性があるため、注意が必要です。

作業が完了したらバケツを使用して水を注いで確認してみてください。つまりが解消したら止水栓を戻して完了です。

トイレのつまりを除去する際にやってはならないこと

トイレのつまりを除去するために良かれと思って行った行為が、かえってトラブルを悪化させてしまうことがあります。以下の3つに注意してみてください。

熱湯を流す

「水よりも熱湯を流した方がつまりの原因となっているものが流れるのではないか」と考える方もいます。ですが、便器は陶器でできていることから高温に弱く、熱湯を流すとひびが入ることがあるため、避けてみてください。

ひびや割れによって便器を交換することになれば、高額な費用が発生します。50〜60℃の温度であれば問題ありませんが、これ以上高温のお湯は使用しないでください。

強い薬剤を使用する

強い薬剤を使用すればつまりが解消するように思いますが、原因に合ったものでなければ効果はありません。さらに薬剤によって便器を傷める可能性もあります。

原因が特定できている場合は、適切な薬剤を選ぶことが重要です。

流水を利用する

「途中で何かがつまっているのであれば、レバーを回して大量に水を流して流せば良い」と考えるのは間違いです。つまりが解消されないまま水を流してしまえば、水が流れません。

逆流した水が便器内から溢れてしまう可能性が高いです。集合住宅の場合は、下の階に水漏れして、損害賠償を請求される可能性もあります。

つまりが発生している場合はレバーを回して水を流すのではなく、バケツに汲んだ水などを使用して様子を見ながら流しましょう。

トイレのつまりを放置するとどうなる?

トイレのつまりを放置することは推奨できません。原因によっては自然に解消することはなく、対処しない限りつまったままになってしまうからです。

その結果、どのようなリスクが考えられるのか解説します。

トイレが故障するリスクがある

つまりを放置した場合、トイレそのものが故障してしまう可能性があります。つまりによって全く水が流れない状態になると、流した水が逆流して溢れてしまう可能性も考えなければなりません。

その水が便器の電気系統に触れてしまった場合、故障のリスクがあります。

トイレのつまりを放置する大きな理由といえば、やはり修理費用の問題があるでしょう。ですが、つまりを放置した結果トイレが故障し、トイレ本体の買い替えが必要な状況になってしまえば、修理するのと比較して費用がかさむことになります。

便器内の水が逆流する

つまりによって逆流した水が溢れた場合、大変不衛生です。便器内の水だけではなく、汚物も溢れ出して悲惨な状況になる可能性があります。

タンクの中に入っている水はタンク内が清潔であれば汚れていませんが、排水口は下水とつながっているので、逆流する水には下水に含まれる雑菌も含まれている可能性が高いでしょう。
もちろん、掃除も大変です。

少しずつではあるものの流れているからと修理を先送りする方もいます。「しかし、ある日突然全く流れなくなってしまう可能性もあるため、早い段階で修理を検討しましょう。

自力で直せなくなる

自力で修理しようとは考えているものの、時間がなかったり、手間に感じて先送りしてしまったりする人もいます。ですが、つまりを放置すると徐々に悪化していく可能性があります。

これは、つまってしまったところに新たな原因が蓄積していくことや、すでに発生していた原因がトイレを使用することで少しずつ奥に移動してしまうためです。
このような状態になると自力での修理が難しくなることがほとんどです。

当然ながら修理費用も高額になるため、トイレのつまりに気づいたらすぐに対処してみてください。今放置していても、いずれは修理が必要になります。何よりもつまった状態ではトイレを快適に使用できないため、トイレの時間が苦痛になります。

トイレのつまり除去を水道修理業者に依頼するべきケース

つまりの状態によっては、自分で対応することなく水道修理業者に修理を依頼した方が良いケースもあります。一つの判断基準となるのが、つまりの原因が何なのかです。

トイレットペーパーや排泄物など、水で流れるものについては自身で対応できる可能性があります。

しかし、水に溶けないおもちゃやペン、スマホなどが原因でつまりが発生している場合、これらを物理的に除去しなければなりません。

排水口から手を入れて届く範囲に引っかかっているのであれば除去できる可能性もありますが、それ以外は対応が難しいと言えるでしょう。

場合によってはその固形物が排水管を傷付け、大規模な水漏れ被害を引き起こしてしまう可能性もあります。マンションやアパートでこういったトラブルが起こった場合、周囲の住人にも迷惑をかけることになるのは避けられません。

なお、水に溶けるものであれば完全に自力で解決できるわけではないので注意しましょう。つまりが発生したところに原因となるものがさらに蓄積して完全に排水管がふさがってしまったような場合は対応が難しくなります。

まずは自力でできる方法を試してみて、つまりが解消されない場合は無理することなく水道修理業者に依頼することを検討するようにしてみてください。

トイレのつまり除去を水道修理業者に依頼する際の費用相場

トイレのつまりが発生して自身では対応できないと感じているのであれば、水道修理業者に依頼しましょう。間違った対処をしてトラブルが悪化してしまうケースは珍しくありません。

その結果、すぐに水道修理業者に依頼したのと比較して高い費用がかかることになります。

気になる作業料金の相場としては、簡単な作業で対応できる低度なつまりであれば5,500円~程度です。

高圧ポンプを使用するような中度のつまりが発生している場合は、22,000円~と考えておきましょう。

つまりが発生している箇所が奥の方である場合は、トイレ脱着工賃などの高度な作業が必要となり、50,000円以上の費用がかかることもあります。

この他に出張料金や交換が必要な部品がある場合はその商品代がかかります。何にいくらの費用がかかるのかについては事前によく確認しておきましょう。

熊本県でトイレつまりを除去するなら“くまもと水道職人”

トイレの構造からみてつまりやすいポイントや、つまってしまう原因などについて紹介しました。注意して使用していても構造上完全につまりを予防するのは難しいことです。

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監修者

監修者の写真

主任

平野 勝

《略歴》

2017年株式会社N-Visino入社後、弊社指定の水道メンテナンス研修プログラムを履行。
水回りの小さなトラブルから建物全体のメンテナンス、リフォームに至るまで、水に関わるあらゆるお悩みをお客様の目線に立ち、お客様とともに解決してまいりました。
年間約600件の現場へ実際に立ち会い、培った水のプロフェッショナルとしての経験を活かし、当コラムでは水にまつわる幅広い知識を届けたいと考えています。

熊本のトイレのつまり・水漏れは、水道修理の専門店「くまもと水道職人(熊本水道職人)」

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